『本好きですか?』2004年5月号
幼い頃のファンタジーの世界は、守ってあげなければいけないと思っています。この世界でどれだけ自由に遊べたかで、大人になってからの想像性、創造性、柔軟性など、人間として魅力的な部分を左右すると思うからです。大人よりも子どもたちがハリーポッターの本の世界に入り込めるのも、冒険モノにのめりこむのも、この時期だからこその本の世界での遊び方です。
さて、子どもたちを本好きにさせてあげるには、何が大切なのでしょうか。
子どもにとって、本は、“読みたい本”がいい本なのです。いくらいい本だと言ったって、読まれなければ本は何の役にも立ちません。興味がわかない本は、意味がないのです。子どもが本をほしいといった時には、少し大きな本屋さんに連れて行ってあげてください。子どもは色々な観点から本を選んできます。車が好きな子は乗り物の絵本が気に入ります。表紙が気に入ったり、お兄ちゃんたちが読んでいる字がいっぱい詰まった本を選ぶかもしれません。買ってやった本は、隅から隅まで読んでほしい思いがあるでしょう。しかし、買ってあげた本は子どものものだから、どのような読み方をしても、自由にさせておくのが本を好きになる子どもになる条件です。
勉強と同じですね。人間は興味のあることに集中し、よく覚え、勉強するのです。子どもが興味を持ったことを見ていてあげると、子どもはますます自分の興味を発展させます。そして飽きるまで、自分なりの創造性を発展させます。この時に、集中力が自然についてくるのです。
子どもは親のことばよりも、態度から学びます。親が読むのが、週刊誌と新聞ぐらいなのに、子どもに本を読めといっても子供はなかなか本好きにはなりません。親が自分の仕事に関する勉強をせずに、子どもに勉強せよと強制しても子どもは勉強しません。
逆に、親が勉強家や読書家でも、子どもは大の勉強嫌い、本嫌いになることもあります。これは、親が本を読むことの大切さを子どもに言い過ぎるのです。勉強させようとしすぎるのです。強制は楽しさを奪います。おもしろい本でも、強制されて読まされ、後でテストすると言われれば、その本に対する興味を失い、かえってその本を疎ましく思うでしょう。親が本を読んだり勉強するのを楽しんでいますと、子どもも楽しいことを自然にしたくなるのです。 人間は、誰でも強制されることに敏感で、それを極度に嫌うものです。
花まるでも、また新たに読書ラリーがスタートしました。高学年では、いちいちページ数を書きとめていられないほどの量を読み、ラリーに参戦しない子もいますが、低学年のうちは、保護者の方にお手伝いしていただき、それぞれの興味のある世界で、読書を楽しんでほしいと思います。