『書く力の第一歩目』 2006年 9月号
サマースクールも終わり、夏の集中授業で会う子どもたち。一年で一番きらきらした彼らの成長を感じるときでもあります。そんな夏の始まりを告げる、サマースクールの出発の朝、ある保護者の方から一通のメールをいただきました。
こんばんは
今学期もお世話になり、ありがとうございました
Tの通う学校では、学期毎に、そよ風新聞というお便りがあります。副校長先生のお話から始まり、子供の作文が何作文か載り、先生、保護者の各数名の文となります。その中に、Tの林間学校の作文がありました。思ったことをただ次から次へと書いていく…いつもの作文。ただ花まるで書くより長く、真面目な文ですが…
受験用テクニックや型にはまったものでない、のびのびとした作文で、とてもTらしいものです。
そんな風に作文をのびのびと書けるのは、花まるのおかげとまた感謝してしまいます。
作文お見せしますね。
先生のおかげで、のびのびを壊さぬ私がいましたから、花まるの作文を読みながら、わが子の思いつくままの文に、こんな風に真面目に赤ペンでコメントを書いて下さる先生に頭が下がると思っていました。なので、私ものびのび書かせておこうと、エッと思う文にも目をつぶり…
今日から沖縄なのですね。こちらは雨で肌寒いです。気温の差、お天気の違いに体調を崩されませぬよう、華奢な身体で頑張って下さいね。お忙しい朝に、お返事ありがとうございましたm(__)m
書こう、とすると、見ていて悲しいくらいに真っ白な紙を前に動けなくなってしまう、そんな子どもたちをたくさん見てきました。彼らに必要なのは、「書きたいことを書いてもいいんだ」という、まさに意識変革です。
覚えたことばを使って書く文章なんて、子ども達にとっては、とても誇らしいこと。どの子も楽しんで新しい世界に踏み出すものなのです。それなのに…?
わが子の拙い‘はじめて’作文に、最初は大喜びのお母さんも、日がたつうちについ言ってしまう、「○○ちゃんはあんなに長く書けてるじゃない」「ほら、もっとなんかあるでしょ」ということば。けなげな子どもたちは、お母さんにほめられたくて、困ってしまうのです。
「作文をのびのびと」これを身につけることができた子どもたちは、作文なんて息をするようにさらっと書いてしまえるもの。一番大切なことは、この時期に、書くことへの壁を作ってしまわないことなのです。彼らの「書く力」の第一歩目を、正しく導きたいなと思います。