カエル 『何か一つを続けよう。日記はいい。』

『何か一つを続けよう。日記はいい。』2012年8・9月

中学から高校にかけて、君にやってほしいと思うもの。
それは、日記をつけることだ。

今はブログやツイッターもあるから、自分で何かを書く場所はたくさんある。だけど、日記は、自分ひとりのためだけに書くもの。家族に見られる可能性もあるから、絶対見つからないところに隠して書くようにしよう。

人間って、誰もがドロドロした部分を持っている。例えば中学生くらいになると、男の子は女の子、女の子は男の子にすごく興味を持ち始めるよね。好きな子のことばかり、一日中ずっと考えていたりする。あるいは、友達に嫌なひと言を言われて、絶望的な気持ちになる。「もういなくなりたい」とすら思うこともあるかもしれない。
そんなことをすべて、ありのままに、日記に書きつづるんだ。
そんなふうに、素っ裸の自分をひたすらに書き続けていくと、本当の自分が見えてきて、気持ちが落ち着いてくるよ。そして、世界のこと、自分のことにピッタリと感じる言葉が見えてくる。「自分の言葉を持つ」ってことなんだけど。自分の言葉っていうのは、自分で自分をだまさない。正直な言葉を持つ、ということなんだ。これができると、社会に出てから大きな力になる。

ぼくは、毎月「花まるだより」という冊子に巻頭文を書いている。小説家の書く文章に比べればまったくかなわないけれど、説得力があると言われる。

それは、日記を書いて書いて、書いてきたことで、言葉に多少とも力がついたんだと思う。さっき言ったとおり、ぼくは、自分の中にあるコンプレックスや悩みなんかを、日記に書き続けてきた。初めはつらい作業なんだけど、やっていくうちにすっきりしてくる。この快感を一度覚えると、書き続けられるんだ。