講演会実況中継 『内弁慶はどうしたら?』

『内弁慶はどうしたら?』2013年11月

Q
小1長女です。運動は得意ですが、大変な内弁慶で、家では妹に威張り散らしているのに外ではお友だちに「遊ぼう」と言うことさえ難しいです。なるべくのびのびといろんな体験をさせて育てたいと思いますが、仕事が忙しく、こちらも余裕がありません。子どもがもっと自信をつけるには、どうしたらいいでしょうか。
 

A
そうですね、内弁慶の相談も絶えたことがなくて、何かって言うとね、特徴としては、中学生ぐらいになって会うと「え、そんなこと言っていましたっけ」なんてね、「ああそうでしたねえ」って。要するにいい思い出になっているんですよ。基本的に、3年生くらいがひとつの目処だけど、家で威張り散らしているんだったら、必ず威張り散らせるんで、安心してください。家でいっぱい喋っているけど、外で喋れない、みたいなのもよくあるんですけどね。これはまあ例外として、器質的なものを抱えていることも無くはないですが、基本的にはそれも3年生くらいを目処に、ベラベラ喋って人気者になりました、なんていうのもよくあるパターン。

つまり成長段階として、順番にこう、社会に溶け込むことをひとつひとつ覚えているので、見守っていていいっていうか。一番典型的なのは私自身で、小学校2年生までは、通知表に「学校で喋ってくれるといいんですけど」と書かれるくらい内気だったんだけれど、家では兄弟げんかしまくってたっていう。ところが3年生の先生と出会って、もうころっと変わって、人前で歌ったり踊ったりするような体質に変わりました。これはほんの一例で、本当にいっぱいあります。

ちょうど今お母さんはもう真っ只中で、一人目で、上が1年生で下が年少だと心配なんですよね。これはもう、よくあるパターンなので。

で、いくつかいいところがあって、まず内弁慶で家では威張り散らしてられるっていうこと。つまり表現できる人だということ。それから運動が得意っていうのは、これはもう無茶苦茶強い。特に低学年時代というのは、第一自己像を作るときですから、大体そこはうまくいくって言うか、運動ひとつ得意だと、すごくいいことばかりで、それはよかったですね。

やっぱり運動が苦手だと、後を引いたり、大人になってからも根に持っていたりというような人がいるんだけれども、そこは自信を持ってほしい。

で、お母さんが、ひとつ方策としてプラスに向くのは、多分お母さんが「外では喋れないんですよね、この子」というオーラを出していたり、人前で話してたり、先生と話してたりするのを聞いてて、まあそれが若干プレッシャーになっていることはあり得ると思うんですよね。女の子はよく人の話を聞いているので。

働いていて時間がないのもわかるし、こういうお母さんがやっぱり、一つ落とし穴としてよく陥りがちなのは、どうしても忙しいから「さっさとやんなさい」と言って、下の子にやっぱり時間がかかっちゃうから、そしてどうしても下の子のほうがかわいらしかったりするから、かかりっきりになっちゃうんです。しょうがないね、人間みんなそうだから。

だけど、そうなると寂しいんですよ、上の子は。お母さんが思っている、何倍も、寂しがっている場合があるので、「一対一」の時間をとってあげると、とっても喜ぶ。それはもう定期的に、一日5分や3分でもいいから、妹を先に寝かしつけてから、ぎゅーって5分くらい抱きしめて「大好きよ、おやすみー」というように。「やめてー」とかいいながらも、基本的な「自信」のところをしっかり支えてあげれば、この子は必ず外でもしっかり自分を出せる人になると思います。

(臨場感を伝えるために、あえて話し言葉のまま掲載しています)