松島コラム 『エール!最後まであきらめない』

『エール!最後まであきらめない』 2016年1月

今の時期、「受験生にとって一番大切なことは何か。」と聞かれたら、私は、「あきらめない気持ち」と答える。中学受験に限らず、最後は執念というか、心の部分が大きい。淡々と今やるべきことを受験前日まで続けてほしい。新しい問題集や参考書は始めないほうがいい。親子とも不安になるだけである。大切なことは自信をもって本番に臨むこと。これまでやってきたことをもう一度おさらいし、わかったつもりで終わっている内容を完全に理解するまでやりこめば使える知識に変わる。答えを見たら「ここまではできていたのに…。」という惜しい問題を確実に得点できるようになる。
 入試が終わったばかりの生徒に、「どのくらいできた?」と感想を聞くと、「あまりできなかった。」と言って合格する子と、「けっこうできた。」と言って残念な結果に終わる子がいる。前者はできた問題は確実に把握していて、「これはできたがこれはできなかった。」ということが明確である。こういう子が「よくできた。」と言っているときはかなりの信ぴょう性がある。後者の場合、「この問題はたぶんできた。」と言っているのだが、よく聞いていくと「できたかどうかよくわからない。」に変わっていく。題意を完全に理解できないまま答えを書いてきた可能性が高い。もちろん、見込み通りに正解していることもあるが、危うい橋を運よく渡れただけかもしれない。ただここに至っては運も実力のうちでよい。
 受験は最後までわからない。たった1問で差がつくのが受験である。得点開示で1点差で力及ばなかったケースもある。それは本当に悔しいことである。だから最後の一か月の仕上げが大切である。この期間で合否がひっくり返ることも十分ある。本番では実力以上の力は出ないものとして、これまでの定着の精度を上げることが最善、最短の道である。力は入試前日まで伸びる。最後までやり抜いて自信をもって当日を迎えてほしい。
 途中思いもよらぬ結果、想定外のことがあっても、チャンスがある限り挑戦してもらいたい。そうやってあきらめずに志望校合格を勝ち得た受験生を数え切れないほど見てきた。ちなみに私の教え子で保健室受験をした受験生の合格率は100%である。詳細なデータを持っているわけではないが、保健室受験者の合格率は比較的高いと言われる。理由はいくつかありそうだが、やはり追い詰められた時のあきらめない気持ちがこういうところでも大きいのであろう。子どものたくましさに感動する。
 もちろん保健室受験を勧めているわけではない。この時期の体調管理には十分気をつけてほしい。いつも通りの規則正しい生活、栄養のある食事と十分な睡眠を保護者の方にはお願いしたい。しかし、万が一、入試前日もしくは当日に体調が悪くなったとしても打つ手はある。慌てずに落ち着いて行動し、何か困ったことがあればFCに相談していただければと思う。最後まで子どもたちを信じて全力で支えていきたい。