『実際に見て感じて、判断してください』 2016年8・9月
佐賀県武雄市の公立小学校は11校、花まる学園は5校、残り6校も来年度以降、官民一体型花まる学園の開校に向かう。
市内の中心地に位置し、伝統ある2つの小学校の合同町づくり協議会があり、そこには両校の校長、教頭、主任の学校管理職、地域から地区長、婦人会長、老人会長など地区の役職が集まっていた。この協議会に私たちが呼ばれた。現在花まる学園を開講している小学校での地域組織づくりのプロセスと現状を、教育委員が説明し、具体的な教育内容を花まる社員・前原が説明した。
質疑応答の時間になって、学校主任が「花まるは幼児教育、高学年でも対応できるのか、成果は何か」と質問してきた。聞きたい、といった穏やかな話しぶりではなく、なぜ、この伝統校で花まるをやる必要があるのか、明らかに抗議に近い、強い口調の質問だった。大きな声で発散と解放を狙う音読や、達成感を形にする「できた!」「イェイ!」などを幼児教育と決めつけているのだろう。「花まるは幼児教育だけではありません。花まるのやり方は、私たちが創立以来20数年、どうしたら、子どもたちをやる気にさせることができるか、集中させるかことができるか、現場から学び、積み上げてきた方法論です。それを市に提供しています。花まるのやり方を押しつけているわけではありません。その小学校の子どもたちにとっていい方法を探すために先生方と話し合う、そのために私たちはここにいます。成果?数字には出せませんが、アンケートはとっています。子どもたちは元気に花まるタイムに臨んでくれています。懐疑的だった先生にも実際にやってみて理解を得ています。」と反論した。しばらく応酬が続いたが「現在、5校でやっています。実際に見てください。先生に聞いてみてください」と結んだ。
「官民一体」に対する抵抗感はまだまだ学校現場にある。今更、「民」の力を借りる必要があるのか、自分たちが学校文化を培ってきた自負も強い。表だって反対する人だけではなく、学校職員なら少なからず「民」への反感を持っていても当然のこととして受け止めている。むしろ、反発、反感が強い人ほど、子どもに信頼されている先生も多い。
反感を持つ人が、どう花まるに魅せられていくのか、花まるに、私たちに魅せられるだけのものがあるのかどうか。これが私たちの勝負。露骨に反対する人に必死に食い下がる私たちの姿を見て、大変ですね、と声をかけてくれる人がいるが、内心、だから、面白い、楽しい、と思っている。
昨年、最初に花まる学園を開講した校長が、市の広報誌にこういうコメントを載せてくれた。「花まる学習会と連携した取り組みを取り入れたことで、時間を意識した行動ができるようになりました。本取り組みでは、短時間で集中します。その中で無意識に時間を意識した行動が癖づけられ、子どもたちの普段の行動にも変化が表れました。時間を大切にした行動は学習意欲の向上にも繋がっているように感じます。それだけに限らず、学力も向上しています。まさに、子どもたちの知性面、意欲面の両方を伸ばす学習だと考えています。」
西郡学習道場代表 西郡文啓