Rinコラム 『主体的なプレゼンテーション』

『主体的なプレゼンテーション』2017年4月

今年の春、はじめて30人規模の創作ワークショップを開催するにあたって、「コミュニケーションタイム」というものを設けました。それは、これまでも創作を終えた子どもたちが、お迎えに来た家族に作品を意気揚々と見せて話す様子を見て、そこに大切な何かがあると直観していたからでした。
 そして今年度を終える今、その直感は正しかったと確信しています。
 「どうしたい?」と自分に向き合い、創作しきった子どもたちは、普段はそういうことをするタイプではないような子も、熱心に「主体的なコミュニケーション」をとろうとします。制作に没頭しているときに次々と湧いてきた、おもしろいアイデアや発見、自分なりに工夫した点など、その場にいた先生や仲間には伝えなかったことも、家族には言いたい!という気持ちがあふれ出るのです。
 「ここはこんなふうに結んで…」「ここで色替えをして…」と興奮気味に説明する子もいれば、そっとある部分をめくって見せては、「まあるく切ったんだね」「この紙、いいね」というコメントをもらってはにかむ子、ことばにはならないけれどドヤ顔で、ある一か所を指差して見せる一年生…。それぞれが、自分の頭の中にあるものを、それぞれの方法でプレゼンしている。やりなさいと言われなくても積極的に。
 コミュニケーションタイムは、今ではAtelier for KIDsの大切な時間となっています。自然発生的に生まれる主体的なプレゼンから、家族での鑑賞会がはじまっていくのです。
 創作を通して、自分の中から生み出した作品は、当たり前ですが誰かに説明したいに決まっています。聞いてほしい、見てほしい。だってそれは私自身の今が表現されたものだもの!そしてそれを大切な人から認めてもらえる。
 自分で創り出すことの充実感を知っていること。それは、幸せかどうかの価値基準を自分の中に持っている、豊かな人生の土台になるはずです。
 
RELLO 由実(Rin)