『花まるタイムに向けて―一生の宝物を習慣に』
今回は、特に今度1年生に進級する、年長さんの保護者の皆様に宛ててお話しましょう。
「1年生になるにあたって、やっておいたほうがいいことは何ですか?」という質問には、各教室長がその子その子に向けて伝えたいことがあるでしょう。私からは、どのご家庭でも共通してお願いしたいことに絞って、たったひとつお伝えします。
それは、「朝型の生活をしてほしい」ということです。
花まる学習会小学生コースでは、「花まるタイム」が始まります。家庭で、花まるの宿題をやる時間のことです。(読書ラリーや花まる漢字検定のための学習をやる時間ともいえます。)「花まるタイム」は、「朝起きて、学校に行く前にやる」ことが、先生との約束です。これが当たり前のようにできれば、小学校生活は安泰です。そしてこのことは実は、彼らにとって一生の宝になるはずなのです。
ところでどうして、「朝起きて、学校に行く前」なのでしょう。
学校から帰ってきたら、学校の宿題があるはずです。習い事がある子もいるかもしれません。何よりも、1年生の秋くらいまでは、園とは違う小学校生活そのものに、身体が慣れるまで、子どもたちは大変なのです。学校の宿題も花まるの宿題もあって、その上習い事のサッカーでもあれば、身体は疲れてしまってついつい後回し、寝る頃が近づくともうぐずってしまう…一番大変なのはおうちの方です。
そんなとき、花まるの宿題はもう朝に終わっていることが、大きな余裕にも、自信にもつながります。何よりも、朝起きたばかりの一番フレッシュな脳でやる学習と、疲れて眠い状態でやる宿題とでは、やる気も、積みあがる能力にも大きく差がつきます。
実際に、2年生、3年生で相談があった場合でも、このことを面談でお話し、家族で協力して朝の花まるタイムに切り替えてもらっただけで、子どもたちのやる気が、明らかに変化した子がたくさんいました。そしてこのことを、1年生になる前のガイダンスで予め伝えるようにしてからは、「夜寝る前にストップウォッチと花まるの宿題を机にセットしてから寝るんだ」「兄弟でよーいドンでやっています」など、嬉しい報告が届くようになりました。
花まるの宿題は、1年生なら一日10分以内で終わるものしか出していません。それは、「学習を毎日必ず同じ時間に当たり前のようにやれるようになる」ことを、宿題の目的と位置づけているからです。勉強を楽しいと思えること以外に、「日々の学習習慣を身につけること」が、将来の自学を見据えたときの最重要項目なのです。
学習だけではありません。将来彼らが社会に出たときに、「朝起きて仕事を始める前に、自分を向上させる何かを継続して行える体力を持っている」ことは、信頼を勝ち得る、大きな魅力となるはずなのです。(続く)