『お手伝いが知力を伸ばすわけ』2013年8月
外遊びやお手伝い経験の、豊富な子とそうでない子とで、考える力やひらめきに差が出るのはなぜでしょうか。
例えば立体の切り口の問題。断面図がどういう形になるか、分かる子にはなんでもない問題、感覚としてすぐにできてしまいます。なぜなら、実際にお手伝いで豆腐や長ネギを切った断面図を見たことがあるから。例えばコマを回転させた図が、どんな風に変化するか理解できるのは、こま回しをやったことがあれば、ぐるぐる勢いよく回るコマに書いてある柄がどんな風に変化するのか、既に遊びを通して経験済みだからです。
誰かのために、役割を与えることで責任を持たせて任せるお手伝い。風呂掃除ひとつとっても、日々同じ仕事を継続することで必ず伸びる集中力、よりよくやろうと試行錯誤する中で培われる工夫する力、やりぬこうとする意志力が培われていきます。
年中年長コースの思考実験では、ものそのものに触れて実体験を積み重ねることが大きな目的です。この時期に一番必要なのはペーパー上での練習ではなく、「楽しい!」「面白い」「不思議!」という生きた感情の中で、遊びを通して体験を積むこと。それこそが将来の思考力の礎を作り、主体的な学びへの第一歩となるからです。おうちの人にやっていただきたいのは、感動や発見を「よかったねえ」「すごいねえ」と一緒に共感してあげること。そして、ぜひ簡単なお手伝いからスタートして、それを日々継続させてあげてください。五感を使い切った遊びを十分にさせてあげてください。子どもたちの考える力・知力を伸ばすはずです。