Rinコラム 『小学校でのARTの時間』

『小学校でのARTの時間』2016年11月

毎月1テーマの創作レシピを、小学校の朝の時間用にカスタマイズして提供する試み(その名もARTのとびらタイム)が、ある小学校でスタートしました。
 夏休み、2年生の担任教諭から相談があったのです。物を作ることが好きな子が多く、図工などがあって自己表現できた日は、子どもたちが落ち着いていると感じるけれど、毎日図工の時間をとることはできないから、朝の時間を使って「ARTのとびら」のメソッドを実践したい、と。
 私がARTのとびらで指導する視点や哲学を言語化し、小学校での現場から子どもたちとのやりとりや発見、試行錯誤のフィードバックを共有。さらに現場での質問に答えていく…こんな風にやり取りを続けています。まだはじまったばかりのプロジェクトですが、ゆくゆくはより多くの公教育の現場で取り入れられることを見据えて、発展していくつもりです。きっと全ての教科や活動において、子どもたちの意欲が変わってくるはずですから。

「Rinさんの3つの約束(※1)を子どもたちと確認する時間がなかったので、やっぱり、「こうやってもいいの?」「これもいいの?」という発言が子どもたちから多く、見せに来る子も「上手にはできなかったけど‥」「こんな風になっちゃったけど」という言葉がありました。そんな時こそ、「いいねー!ここが素敵だと思うよ」と話すとみんなすぐに席に戻って2個目を作る。という感じでした。子どもたちは休み時間などにも「折って切って開く(※切り紙アートの創作レシピのこと)」をやっていました。」
公立小2年担任教諭より

「Rin先生のAtelier for KIDSを3回受講して迎えた夏休み。娘は工作三昧の日々を過ごしていました。Rin先生に「自由にやりたいようにやっていいよ」「くじけないで」を教えていただいて(※1)、新聞の広告や折り紙、空き箱…なんでもアレンジして楽しんでいました。そんな風に学び成長してゆく娘に私も「基本ルール※2」を知らなければ、暑さの中で適当に「上手ね~」「これは何?」「なんでこう作ったの?(もしかして若干威圧的に…)」と声かけをしてしまったと思います。「基本ルール」を折々読み返しながら声をかけることで、親子共に幸せな夏休みを過ごすことができました。2学期もどうぞよろしくお願いします。」
1年Sちゃんのお母さんより

 ARTのとびらは、子どもたちのための、ただ作品を作って持って帰るだけのワークショップではないのです。
 本当の意味で目の前の相手を幸せにすることができる人は、自分の良さを自分で認めることができる人。自分自身と向き合い、考えを深めることのできる人。自らを表現することで、相手をも尊重できる人。
 日常の延長に創作がある幼児期に、果たして私たち大人は、どんな風に子どもたちの表現活動を受け止めていけるだろうか。
子どもたちと関わる全ての大人たちに、その命題をなげかけているのです。
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※1 ARTのとびら子ども向けのきはん「じゆうにやりたいように」
  「くじけない」「時間が来たら…」のこと
※2 創作時、大人が子どもと関わるときの⑥つの指針 ここでは特に③④のこと
  「③上手だね、を使わず認める:あなたがどう感じたか、を言葉にする」
  「④これは何?と言わない:表現された何かが、具体物である必要はない」
 
RELLO 由実(Rin)