『あなたらしく』2017年12月
「自分らしく生きる」とはどういうことでしょうか。「あなたらしさ」とは何でしょう?
わたしが子どもたちを前にして大切にしていることのひとつに、「感情も意思もある、一個の人間として、対等であろうとすること」だと以前お話しました。(5月号)
例えば、オトナが初心者の気持ちで何かをやってみせる。そうすると、新しいことを始める楽しさを、簡単に子どもたちに伝えることができます。
さらに完璧を目指さないで何かを楽しむとき、同じように子どもたちも楽しみます。(「完璧を求める」ことは、わたしはこのままでは十分ではない、という不安の表れかもしれませんね。)私たちは、ありのままで十分素晴らしい。
反対に、いつも正しい答えを導きだそうと必死だと、何かを学ぶことの喜びは見いだせなくなっていきます。
例えば、自分の不完全さ(完璧な人間なんかいませんよね)を、さらけ出して見せてあげる。それは、失敗を怖がらなくてもいいのだ、という価値観を伝えることにつながります。自分を信じて、何度でも挑戦する勇気を、教えることができるのです。そう、夢をかなえた人は、失敗をしなかった人ではなく、失敗しても何度でも挑戦した人です。楽しみを見出しながら。
たとえば、無理に「大丈夫」と言わない。より自然体でいて、子どもの前で、自分の心の声を無視したりせず、あなたらしさを表現してもいい。自分の感情に正直になると、自分への信頼が深まります。その先に、他人への思いやりというものが生まれていきます。
自分の感情を知っていることは、表現するために/創造力を発揮するために、人として必要不可欠なもの。あらゆる困難な場面での解決策は、いつも創造力を必要とするのだから。
子どもたちがより「自分らしく」いられれば、成長したとき、自分の望む仕事を生み出していける大人になるでしょう。自分を信じられることは、しあわせなこと。
対等であろうとすることは、あなたらしくあること。彼らを前にして、私たちオトナ側が、「わたしらしさ」というものを、もう一度見つめ直す必要があるのかもしれません。
井岡 由実(Rin)