『ママはどうしたい?』2018年3月
何かを決めるときに最近本人に「どうしたい?」と聞きます。すると、「ママはどうしたいの?」と問い返されます。ママの理想に添いたいのかと思い、「あなたはどうしたいのか聞きたいの」と改めて聞くと、「わたしはママの気持ちを聞いてるの。ママはどうしたい?」…幾度かそれを繰り返すうち、親の理想に添いたいとか、そんな気持ちじゃないとわかりました。娘の中にいる小さなRin先生は、ちゃんと’尊重’と’丸投げ’を見抜いているんです。6つの指針「あなた自身も、自分はどうしたい?に向き合い続けてください」…本当にその通りだと思いました。この一年も色々と考えるきっかけをたくさんいただきました。」
(2年生のお母さんより)
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彼らのひらめきや、こだわりや、集中を止めない。
感じたことを伝え、共感し、「あなたはどうしたい?」という問いかけを、まるで彼らの前に立つ鏡のようになって見せてあげ、「そのままのあなたを表現してもいいのだよ」と、「自由」の意味を語り、「失敗はないんだよ」とユーモアで返答する…。
大人と子どもでもなく、先生と生徒でもなく、1表現者と1表現者として、ともに作品に向き合う。子どもたちが、自分の価値や成長を自覚できる、1対1の対話の場を保ちつづける。それが、私が創作の現場で大切にしていることです。
子どもたちは、スポーツでも音楽でも、学習でも遊びでも、熱中する何かを通して、自分自身と対話をしています。それが当たり前になっているということは、将来のどんな局面でも、「では自分はどうありたいのか」をブラさずに考え続けることができる素地を持っているということです。
その軸こそが他の誰でもない、ユニークな「あなた自身」であり、他の誰かのために生きるのではない、あなたの人生を追求していく強さ(と優しさ)につながっていくはずなのです。
生きている限り、誰かを愛し、慈しみ、しあわせにすることができてこそ、本当の意味の豊かさを知ることになる。
子どもたちがその過程でどんなふうに道を描いていこうとも、すべて尊いものです。
お母さん、あなたの気持ちを、いつも正直に思い描いてください。
自分はどうしたいのか、に向き合う大人の姿は、子どもたちに勇気を与えるはずです。自分と対話をすることは、本気で向き合うことの美しさ、自分を信じることの尊さを伝えることができるからです。
井岡 由実(Rin)