『本気で遊ぶ』2018年4月
いつも自分の頭で考えたいと思う子に育てるには、どんなことが大事なのでしょう。
なんでも「まずはやってみよう!絶対できるはずだ」と思えるような、その心の土台のようなものは、どうやって培うことができるのでしょう。
花まるでは、「遊び」だとしか子どもたちが感じられないように、授業を設計しています。幼児期のうちに、「大好き」で、「楽しく」て、「もっとやりたい」と思える経験を積むことが大切なのです。なぜなら脳は、「大好き」で、「繰り返したこと」だけが伸びていくものだからです。
子どもは、遊ぶ生きものです。とにかく本気で遊ぶのです。
思い出してみたら、みなさんが子どものころ、遊びに適当に付き合う大人に、「ちゃんとやって!」と怒ったことがあるかもしれません。あるいは親になり、子どもからそう言われたことがあるかもしれません。
雪国スクールやサマースクールで、自然の中で本気で遊ぶ子どもたちを見ていると、疲れというものを知らないなと思います。
周到に用意された「遊び」の中で「遊ぶ」のではなく、何でもないところから、子どもたちが自ら「遊び」を見出していける時間があれば、彼らは夢中になり集中し、どんどんクリエイティブに「遊び」を発展させていきます。
真剣に遊ぶことは、楽しみに身を任せること。遊び方に間違いなどないから、誰にも邪魔されずに新しい何かを失敗することも許されている。自分で考える力を、体験をもって身につけていくことができるのです。
実際、人間が最高のパフォーマンスを発揮できる状態というのは、遊んでいるときです。
はたから見たら、ものすごく大変そうな仕事をしているように見えていても、どこかに「遊び」があるからこそ、人はその仕事に夢中になり、結果として最高の仕事を果たしていけるのです。
彼らが大きくなったときに、仕事や子育てなど、生活のすべてにおいて、生き生きと魅力的に暮らしていけるかどうかは、どんな仕事の中にも、「遊び」を見いだせるかどうかによるでしょう。その力を育んであげるために、まずは私たち大人が、本気で「遊んで」生きている後ろ姿を、子どもたちに見せることが大事なのではないでしょうか。
2017年度もRinコラムを読んでいただきありがとうございました。来年度も引き続き、幼児教育を芸術家の視点で、切り取っていけたらと思います。子育てはアートなのです。
井岡 由実(Rin)