松島コラム 『2020年の記憶』

『2020年の記憶』 2020年12月

 2020年を振り返ると、1、2月の入試以外のことは記憶がぼんやりしています。それほど3月以降の私たちの日常は大きく変わりました。何よりも最初に変わったのは子どもたちの生活です。学校一斉休校のニュース映像は今も忘れられません。保護者の方々も、毎日子どもが家にいるという状況に不安や戸惑いがあったと思います。FCでは、休校と同時にオンライン自学室を開室し、なんとか子どもたちの学習を止めないよう、動画配信や課題提示など、そのときにできることを必死に考え、実行しました。2週間ほどで授業は再開しましたが、緊急事態宣言がいつ発出されるか見えない中、このコラムを通じてパソコンとインターネット回線の準備をお願いしたことを覚えています。その後間もなく花まるグループでは、子どもたちとそのご家族、働くスタッフの安全と命を優先し、すべての授業をオンラインに切り替える決断をしました。4月7日の緊急事態宣言が出る一週間くらい前のことだったと思います。それからは、まさに全員野球でオンライン授業の準備を進め、4月13日から全授業をオンラインに切り替えることができました。ZOOMによる自学室やオンライン授業の開始は教育業界では一番早かったのではないかと自負しています。多くのメディアからも取材を受けました。こうしたことは保護者の皆さまのご理解がなければ実現できませんでした。度重なるメールでの連絡とそれに伴う変更、オンライン授業に向けての準備のお願いなど、ご協力くださいましたことに大変感謝しております。
 新型コロナウィルスの正体もつかめないまま緊急事態宣言は解除され、対面授業を再開する塾も増える中、FCでは慎重を期して夏前までオンライン授業を継続しました。夏期講習からは少しずつ、9月からは学年によってはすべて対面授業に戻しました。来年度の授業形態についてのアンケートでは、オンライン授業への期待が大きいことを知り、2021年度からはオンラインの専門コースを立ち上げることにしました。
 花まるグループでは、こうしたオンライン授業への取り組みや教室内での感染対策の徹底によって、現時点で教室内でのクラスターは起きていませんし、講師からの感染の報告も受けていません。もちろん、12月に入って第3波が来ており、予断を許さない状況が続いていますので、今後感染者が出る可能性は十分にあります。しかし、そうした場合でも迅速に対応し、しっかりと感染拡大防止に努めてまいります。
 さて、中学受験の世界では、「入試応援・校門激励」という塾の先生方による受験生を励ます恒例行事があります。学校の敷地内やその周辺を塾の旗を持ったスタッフがずらりと並び、その光景は入試会場までの花道を作っているかのようです。私もこの仕事に就いて以来、入試応援は一度も欠かしたことがありません。しかし来年はやめることにしました。屋外であっても、受験生と握手をしたり抱き合ったりする密接や、狭い場所に受験生・保護者・塾スタッフがごった返す密集の可能性があります。すでに多くの学校から入試応援の自粛を求める通知が来ています。自粛を表明している大手塾もあります。追試などの救済措置をしてくれる学校もありますが、そういう状況になることを望んでいる人はいませんし、感染のリスクがあるようなことを私たちが行うことは、これまでの方針に反することになります。いつどんなときでも受験生ファーストでありたいと思っています。そうしたことを踏まえて、花まるグループでは、2021年の現地での入試応援を控えることにしました。その代わり、ZOOMや電話、メールなどを駆使して子どもたちへの声かけ、サポートを十分に行ってまいります。詳細については、各校舎よりご連絡させていただきます。
 12月初旬、合格の知らせが届きました。この時期の入試で合格をもらうことは簡単なことではありません。見事合格されたみなさん、本当におめでとうございます。年が明けると中学受験・高校受験が本格的に始まりますが、こうしたうれしいニュースに勇気をもらい、ぜひみなさんもあとに続いてほしいと願っています。前号にも書きましたが、あきらめずに本気で取り組めばまだまだ学力は伸びます。FC・道場・テックの先生方はみなさんを最後まで応援します。なんでも相談してください。
 来年は今年よりもきっとよい年になるはずです。そういう期待をもって新しい年を迎えたいものです。
 2021年もどうぞよろしくお願いいたします。

スクールFC代表 松島伸浩