松島コラム 『2022年の新しい学校』

『2022年の新しい学校』 2021年9月

 来年度開校する金沢学院大学附属中学校(共学)の教育関係者向けの説明会(東京会場)に行ってきました。名前の通り石川県金沢市に開校する学校ですが、1月・2月に東京でも入試が行われます。同業者であり友人でもある清水章弘さんがこの学校の教育アドバイザーに就任したことは聞いていたのですが、実際にどんな学校になるのかうかがってきました。
 石川県の私学というと高校野球で有名な星稜高校を思い出しますが、そもそも石川県内の私学で、中学から募集をしているのはその星稜と北陸学院のみで、ほかには国立金沢大学附属と県立錦丘の4校しかありません。そうした中、来年には金沢学院大学附属、再来年には金沢竜谷(予定)が開校されます。近隣の福井県では、県立高志中の一期生が東大・京大で2ケタ、富山県の片山学園中では理Ⅲ2名の合格者を出すなど、全国学力調査で上位の常連である北陸3県でも中高一貫校への関心が高まりつつあるようです。
 金沢学院大学附属中学の募集は特進と総合の2コースとなります。特進コースは旧帝大、医学部など難関大学を目指すコース、総合コースは系列大学進学を念頭に、語学やプログラミング、スポーツや芸術などの幅広い学びを目指すコースです。前出の清水さんは単なるアドバイザーとしてではなく、ご自身の経営する塾の先生方とともに実際に教壇に立つそうですので、その本気度がうかがえます。通学区域外の生徒は寮生活となりますが、充実した施設の寮棟が間もなく完成します。関心のある方は、今後首都圏での説明会も開催すると聞いていますので、学校のホームページ等を通してお問い合わせください。
 募集を停止していた千代田女学園中が来年から千代田国際中(共学)として再開します。先日、校長として就任予定の日野田直彦先生に、私がパーソナリティを務める「スクールラジオ」にご出演いただきました。日野田先生は現在、武蔵野大学中高と武蔵野大学附属千代田高等学院の中高学園長をされており、千代田高等学院の系列中学にあたる千代田国際中の開校に向けて準備をされています。日野田先生とは花まる子育てカレッジの留学をテーマにしたセッションなどで交流させていただいていましたので、収録もスムーズに進みました。もともとご自身が帰国子女であることからインターナショナルスクールに造詣が深かったものの、日本の私教育・公教育の両方を知っておきたいと、大手塾の正社員、公立高校の校長、そして私立中高の校長と、常に難しい環境に身を投じてこられました。今後少子化が進む中で、学校経営が厳しくなることは必至であり、そのための再生モデルを作っていきたいとお話しされていました。武蔵野大学中高の学校説明会に参加された方はご存知のように、言いにくいことも本音でズバズバ言われる方なので、収録中「そんなこと言ってもいいんですか」と内心思う部分もありましたが、ほとんど編集なしで配信しています。これまでのすべての経験を千代田国際中に注ぎたいとも言われていましたので、こちらもご関心のある方は説明会等に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。「スクールラジオ」の概要欄にも今後の予定を掲載しております。
 もう一つは、星美学園がサレジアン国際学園と名称を変えて共学になります。本科クラス・インターナショナルクラスという2クラス制となり、インターナショナルクラスは、アドバンスグループ(AG)、スタンダードグループ(SG)という2グループに分かれます。こうしたインターナショナルコースは近年人気となりますので、今後の動向が注目されます。
 中高一貫校は入学すれば基本的には6年間その学校で過ごすことになりますから、こうした新しい学校にわが子を預けるかどうか、その判断は容易ではないと思います。特に名称変更や共学化、募集コースやカリキュラムのリニューアルとなると、まったく違う学校になると言っても過言ではありません。その真価を測るには10年以上かかると思います。しかし見方を変えれば、その期間は自分たちで新たな文化や伝統を作っていけるチャンスでもあります。最終的にはトップの言葉を信じるしかありません。将来の大学合格実績ではなく、どんな学校を作りたいのか、そのビジョンがはっきりと伝わってくるかどうかが大切だと思います。

スクールFC代表 松島伸浩