『卒業生とのラジオトーク』 2021年11月
このコラムでも何度か紹介してきました「中学受験ナビ・スクールラジオ」は、学校紹介の番組で、学校に行かなくても私学の先生や生徒の話を聞くことができます。これからもどんどん新しい学校の紹介をしていきますので、気になる学校がありましたら、ぜひチェックしてみてください。また参加してほしい学校やその学校への質問、受験に関する相談などもお待ちしています。
さて、今回は番組制作を通して感じたことを少し書きたいと思います。現在は都内の学校に絞って出演をお願いしていますが、日本ではまだ馴染みの薄いポッドキャストというメディアに対して、多くの学校が前向きに検討してくださっています。さらに「普段の学校説明会とは違う話をしたほうがいいですか」「ラジオトークのような感じで、掛け合いをしがら進めていきましょうか」など、こちらの意図をくんで非常にいい雰囲気の中で収録を進めることができています。通常の学校説明会は、校長、教科主任、進路指導、入試広報など各担当者からスライドを使って説明する形が一般的です。当然話す内容も事前に決まっています。「スクールラジオ」では、大枠のテーマは事前に決めていますが、細かい台本はありません。できるだけ一方的な話にならないようにインタビュー形式で進めています。私がどんな質問をするかも伝えていません。そうしたやりとりを通して、その学校の雰囲気を感じてほしいという狙いがあるからです。
学校の様子を知るためには実際に足を運ぶのがこれまでの当たり前でしたが、コロナの影響で学校説明会などに制限がかかり、学校の様子がいま一つわからないという保護者の方も増えてきました。そこで現地に行かなくても、先生や生徒の話を聞くことで感じ取れるものがあるのではないかと考え、「スクールラジオ」を始めることにしたのです。音声配信のよいところは、映像がない分、声や言葉がフォーカスされ、良くも悪くも話者の真意が伝わりやすいという点です。この番組を聴いたあとに学校に行く機会がありましたら、出演された先生に「スクールラジオ、聴きましたよ」と、声をかけるきっかけにぜひお使いください。
最近は在校生が出演してくれるケースも増えてきました。もちろん、学校としても誰でもいいというわけではないと思いますし、実際に出演してくれる生徒はしっかりと話ができる子が多いです。しかし、彼らも台本があるわけではなく、飾らずに学校生活の話をしてくれるので、本当にリアルな学校の姿が映し出される瞬間があります。部活の顧問の先生と生徒が登場する回などでは、日ごろの関係性がよくわかります。これまでは授業見学や文化祭などでしか感じることができなかった普段着の姿が、この番組を通して少しでも伝わればいいと思っています。
世田谷学園の先生に出演をお願いしたとき、しばらくしてこんなメールが返ってきました。
「高校2年生の生徒が獅子児祭(文化祭)実行委員会の幹部をしております。この生徒は花まる学習会の出身で松島先生にも習ったことがあるそうです。ぜひとも、この企画に参加したいと申し出てくれました」
見覚えのある名前でしたが、私が校舎で担任した生徒ではありません。「どこで教えたかな」と記憶をたどると、現在はコロナ禍で実施できていない「勉強合宿」で教えた生徒でした。当時のことを覚えていてくれただけでなく、さらにラジオ番組で私と対談したいと手を挙げてくれたことに、本当に感激しました。
収録の当日は、5年の月日を感じさせることなく、気さくに自分の言葉で学校生活の話をしてくれました。実は彼とのメールのやりとりの中で、「獅子祭の宣伝ばかりではなく、学校の様子をたくさん話せるように準備しました」と、事前に大枠のテーマと話の流れまでを作ってくれていたのです。そして本番では、高校生とは思えない俯瞰力やリーダーシップに驚かされる一方で、高校生らしいはつらつさやユーモアにも溢れていて、微笑ましく感じる場面もありました。
進学先で最高に輝いている卒業生の姿を見ることができて、これ以上の喜びはありませんでした。そしてこのようにのびのびと成長させてくれた学校に、感謝の気持ちでいっぱいです。ぜひお時間がありましたら、世田谷学園の回をお聴きください。
このコラムを書き始めてから今月で100号となりました。引き続きよろしくお願いいたします。
スクールFC代表 松島伸浩