『この夏に思うこと』 2023年9月
今年も暑い夏でした。北海道の観測史上最高気温のニュースは、「とうとう北海道も…」という小さな衝撃でした。私の子どものころは、窓を開けて扇風機を回しておけばしのげるくらいの暑さだったような気がします。しかしいまではエアコンなしでは過ごせない生活になっています。皮肉なことにそれがさらなるCO2の排出につながっています。日本の平均気温の上昇は、世界の平均をかなり上回っているというデータもあります。「こまめに電気を消す」など日々の生活のなかでできることを、みんなで取り組んでいきたいものです。
塾講師が起こした残念なニュースもありました。保護者の方にとっても、塾側の私たちにとっても、絶対に許せない犯罪です。FCでも密室をつくらない、極力教室のドアは開放するなどの対応をとっておりますが、改めてこうした事件が起きないよう対応策を強化してまいります。また、日本版DBSの義務化対象外とされていた学習塾についても、直近の報道では認定制度を設けるなどの検討がされているとのことですので、これについても積極的に取り組んでまいります。
先日、日ごろ交流のある塾経営者から声をかけていただき、中学受験の勉強会に参加してきました。前半は私学の先生による入試問題の研究会、後半は塾経営者によるミニ講演会という内容です。学校側がどんな意図で入試問題を作成しているか、入試問題を使っての具体的な説明のあと、参加者からの質疑応答が行われます。もちろん来年度どんな問題が出るのかはわかりませんが、その方向性や傾向を知ることができます。こうした現場の先生から直接お話を聞く機会は本当にためになります。2学期には受験生対象の入試問題説明会などを行う学校もありますから、志望校であればぜひ参加されることをおすすめします。なお、そうした説明会などに参加された際には、お通いの校舎にその資料をお持ちください。学習塾は参加できない学校もありますので、ご協力くださると大変助かります。いただいた資料は入試問題の分析に活用させていただきます。
勉強会の後半では、私からスクールFCが目指す「幸せな受験」についてお話ししました。同業他社もいる場ですから、内容によっては手の内を明かすことにもなりますが、それも承知のうえで、あえてこの会に参加した理由があります。
それは、どこの塾の生徒であっても、幸せな受験、意味のある受験をしてほしいという願いです。私塾ですから、ほかの塾の方針や指導法に口をはさむことはご法度です。しかし、受験をすることによって勉強が嫌いになったり、家庭が崩壊したり、そういう結果になっては本末転倒だと思うのです。まだまだ親も子もその先の人生は長いのです。多くのみなさんが「受験してよかったね」と思えるような受験をしてほしい。心からそう思っています。また、特に中学受験においては、受験そのものが悪者扱いされることがあります。しかし、そうした誤解や偏見を減らすためにも、各塾が健全な学習環境を整え、塾に通う子どもが安心して勉強に励むことができ、塾で働く大人が安心して指導できる場になっていかなければなりません。前述のような事件があってはならないのです。お互いの利害を超えて、学びあい、良いものは認め、高めあっていくことが大切だと思っています。「塾業界を変えるんだ」というような尊大な考えではなく、共感できる仲間同士で、まずは自分たちのところからより良くしていこう。そういう動きが広がっていくことを願っています。
最後に、高校野球が好きな私にとっては、慶應義塾高校の107年ぶりの優勝に盛り上がりました。ホームページに掲載されている慶應義塾高校野球部の部訓もしかり、試合後におこなわれた慶應の選手のインタビュー中、仙台育英高校の監督・選手がずっと拍手を送り続ける姿も感動的でした。勝敗を超えたところにあるスポーツの素晴らしさを改めて教えてくれました。
「グッドルーザーであれ!」「人生は敗者復活戦」という須江監督の言葉。そう、悔しい思いは次につなげればいいのです。そういう言葉が心にしみる年齢になったなと感じる夏でした。
スクールFC代表 松島伸浩