当局への、外部(ニュアンスからおそらく他塾らしい)からの告発により、サマースクールや雪国スクールに、会員のご兄弟やお友達を、連れて行くことができなくなりました。また、家庭の事情で普段の授業は無理でも野外体験だけ来ていた子や、引っ越した先(例えば仙台や富山などから)から、わざわざ来てくれた子を、「野外体験会員」として扱ってきたのですが、これも不可能となりました。今回すでに申し込まれた方々には、申し訳ないのですが、おわびとお断りの連絡をし始めています。
県から来た担当者の説明によれば、理由は、我々が行っている野外でのスクールが、旅行業法に抵触するということです。高学年以降の子を、神社仏閣の見学に連れて行くような危険の少ない修学旅行などと違って、幼稚園や低学年時代から大勢のお子さんの命を預かって、滝つぼに飛び込んだり川で遊んだり森で基地を作ったり、寒くてすべる雪の上で遊ばせたりすることが、どれほどリスクがあって覚悟のいることか、子どもたちには楽しい気持ちにさせても、旅行なんていう気分ではとうていやれない。信念と心意気だけでここまで来たのだと言っても、受け付けてもらえませんでした。
毎年、本番前には、「一件でも命にかかわるような事故が起こったら、花まる自体が消滅させられる」という危機意識をスタッフ全員で共有し、安全確保への集中力を最大限に高めて出発しています。
多くの塾がまねをするけれども、数年で「リスクを背負いきれない」「利益に見合わない」と撤退したり、自分たち以外の組織に丸投げで外注しパフォーマンスだけを演じる中で、15年間営々と、次代を担う子どもたちに、一番欠けていて大切な経験をと願い、「最高の教育」と信じてきたものを、「『旅行業』として問題がある」という理由で、横槍を入れられたことは、本当に哀しいことでした。
ただ、「会員限定」であれば許可するという話ですから、会員の皆様には引き続き参加していただけます。家族旅行やキャンプなどでは味わえない、自分でがんばらねばならない、濃厚な野外の異学年での生活と遊びの体験を、これからも提供していきますので、ぜひご参加ください。
さてそんな折り、あるお母さんが、数学者のピーターフランクルさんが、私が年末に出した『「生きる力」をはぐくむ子育て(角川 SSC)』を、毎日小学生新聞紙上でほめていましたよ、と教えてくれました。品川から広島まで新幹線の中で読みふけったこと、日本の子どもたちの思考力が低下していることが指摘されているが、その原因として私が外遊びの減少を挙げていることに賛成であること、お稽古事や部活もいいが、応用力を高めるためには、大人をまじえず、子どもだけでルールなどを決めて活動することが必要であること等を説き、最後にこう締めてくれました。「高濱先生の学習塾が毎年開くサマーキャンプの様子を読んで、『できれば日本の小学生全員に体験させたい』と思った」
会社として発展すればするほどに、妨害が入ることも増えていくのでしょうが、しっかりと見届け応援してくれる味方もたくさんいます。今回の一件で、逆に燃え上がった体験部の若いスタッフたちと一丸になって、信じる「花まるスタイル」を追求していきたいと思います。
花まる学習会代表 高濱正伸