『スポーツの効用』 2018年8月
FCだよりには「花まるグループ事業一覧」というページがあります。その中の「これからの教育への挑戦」というカテゴリーにある「ONEスポーツアカデミー」の運営に年から携わっています。
主な活動は、小中学生を対象としてバスケットボールスクール(ONE Basketball Academy、通称ワンバス)の運営です。このスクールには、バスケットがうまくなるためのスキルアップメニューも豊富にありますし、プロの指導を直接受けられるコースもあります。しかし、私たちが目指しているのは、そうした技術的な指導だけではなく、スポーツを通して主体的に学ぶ姿勢を身につけ、自立した選手(スクールでは子どもたちのことを「選手」と呼んでいます)に育てることです。練習メニューを選手たち自身が考え、実践し、振り返り、改善していく、いわゆるPDCAサイクルを回していくというスポーツ・アクティブラーニングを指導の軸に据えています。監督やコーチの主導はなく、選手が主体となって作り上げていく中で、お互いに助け合い、ときに意見をぶつけ合いながら、目標に向けて切磋琢磨していく。それはチームビルディングの方法を学んでいくことでもあり、昨今問題になっているスポーツ指導の悪しき慣習とは対極にある考え方ではないかと思っています。
講演会でもスポーツの大切さについてお話しすることがあります。スポーツには、コミュニケーション力(表現力)、リーダーシップ(主体性、判断力)、クリエイティビティ(思考力、創造力)、レジリエンス(折れない心)、ホスピタリティ(思いやり、社会貢献)などの非認知能力を高める要素がたくさん詰まっていますし、学習にとっても大切な集中力を磨くこともできます。また、コツコツと積みあげる努力の大切さも、自分よりも上手な選手が人一倍練習している姿や基本を大切にする姿勢を目の当たりにすることで、より説得力が増し自分事としてとらえることができます。「試合で結果が出せる人は、日ごろからちゃんと練習をしている人なんだ」という現実味をもって受け取ることができるのです。
また、学力テストで上位にくる秋田県や福井県の子どもたちは体力測定でも上位にくることや、部活動をしていない子よりも適度にやっている子のほうがテストの点数が高いなど、体力と学力の相関関係が様々な研究や調査でわかり始めています。
受験との両立については、中3生の部活動はほとんどが夏休みまで、中学受験生の場合は5年生くらいで習い事を整理するご家庭が多いですが、野球やサッカー、水泳などを6年生の夏までがんばり、その後見事に志望校に合格しているケースをみると、時間の使い方が上手になったり、限られた時間で集中できるようになったりと、スポーツが学習によい影響を与えていた子どもたちが多かったように感じています。もちろん、いつまで習い事を続けるかはご家庭の判断です。子どもとしっかり話し合うことが大切ですが、スポーツは外遊びと学習の中間にある、ルールの整った外遊びだと考えていますので、小中学校時代にぜひ一度は何かに挑戦してほしいと思います。
今回ご紹介しましたバスケットスクールは九州で開校しているのですが、スクールだけではなく、部活動支援でもお手伝いできるのではないかと考えています。学校との連携を図りながら、首都圏でも準備が整いましたら、改めてご案内させていただきます。
さて、受験生である小6生、中3生にとっては「夏を制する者は受験を制す」といわれる夏休みです。長期間にわたる夏期講習が始まりますが、生活のリズムを崩さないよう、日々のお子さんの体調の管理については、ぜひともご家庭の協力をお願いいたします。また、受験生以外の子どもたちには、夏休みにしかできない経験をさせてあげてください。子どもの冒険を応援し、将来への可能性を広げてほしいと願っています。
スクールFC代表 松島伸浩