『未来からの留学生』 2019年2月
ある経済誌のネット記事に、少年スポーツにおける暴言や暴力指導の実態が出ていました。指導者のあまりにもひどい暴言に子どもが腹痛や頭痛を訴えるようになったため、親がたまりかねて「怒鳴ったり言葉で追い込んだりするのはやめてほしい」とコーチに願い出たそうです。ところが、「俺が悪いというなら、辞めます」と逆ギレされ、さらに「コーチの指導方法に保護者は意見しないでください」と団長に言われてしまう有様。その後、親子ともに周りから白い目で見られ、無視されるようになり、結局そこをやめざるを得なくなったというのです。ほかにも、教えた通りに動かない子どもに対して、ひざの屈伸運動を1,000回命じたり、猛暑だった8月に水分補給をさせなかったりした指導者に、1年間の活動停止を下したというニュースもありました。
私は幸いにも人の好き嫌いというのがあまりないのですが、あえてあげるなら子どもを尊敬できない大人を好きになれません。そういう人は、子どもというだけでばかにしたような態度をとったり、自分の言うことを聞かない子に理不尽な罰を与えたりします。子どもは乱暴な言葉をまねします。ある大人には丁寧な言葉を使う子どもが、違う大人には乱暴な言葉を使うのは、大人がそういう言葉遣いをしているからです。前述の指導者たちは、自分たちの発言や態度が子どもたちにどれほどの影響を与えているのか、わかっていません。子どもを尊敬する以前の問題です。指導者としての教育を受けていないというのが現状でしょうが、それによってスポーツを楽しむ機会が奪われるだけでなく、心に深い傷を負わせてしまうこともあります。昨年はスポーツ指導におけるハラスメントのニュースがあとを絶ちませんでしたが、少年スポーツが、こういう環境にたえられる子どもしか続けられないようなものであってはいけないと思っています。
子どもは十人十色。成長のスピードも違います。同い年であって同じようにできないのはむしろ当たり前です。しかし、学校に通い、塾や習い事に行きながら、みんなと同じように宿題をやってくる。それだけでも、「えらいなあ、よくがんばっているなあ」と私は思っています。彼らは、私たちが経験したことのない未来をつくっていく人たちです。すべての子どもたちが「未来からの留学生」です。みんなで大切に育てていかなければなりません。そして、その未来に何を持っていってもらうのか、教育の重要性は言うまでもないことです。受験という成長の機会を通して、未来の社会でメシが食える大人になってほしい。そのためにも花まるグループの進学塾として今後も進化を続けてまいります。本年もよろしくお願いいたします。
いよいよ東京、神奈川の中学入試が始まります。一昨年あたりから大学入試改革の影響を受けて、新型の入試を導入する動きが活発になっています。首都圏模試センターの調査によると、昨年首都圏の私学約300校の三分の一あたる136校で、PISA型、自己アピール型、思考力テスト、総合型などの名称の適性検査型入試が実施されました。また、こうした特別な名称をつけない一般入試でも、図・グラフの読み取る問題、与えられた条件を整理する問題、自分の経験や考えなどを踏まえて答える問題などが増加しました。今年もそうした傾向が続くと思われますが、受験生には、「過去問題で見たことがない問題が出たときは、みんなが同じように『こんな問題見たことない』と思っているので、まずはあわてないこと。そして落ち着いて丁寧に問題を読むこと。変化球が来てもボールをよく見て打てば大丈夫です!」と伝えています。今年もFC生、道場生ともにすばらしい活躍をしてくれると信じています。
受験生の保護者の皆様。一番大変な時期ですが、わが子の合格を信じて、最後まであきらめずに前向きな声かけをお願いいたします。皆様にとって、意味のある幸せな受験になりますことを心より願っております。
スクールFC代表 松島伸浩