『学びの指針“道場心得”(一)』 2021年2月
学習者が主体的になって、学習と対峙し自分を鍛える場、学ぶ“道“を究める場として学習道場をつくった。そして、子どもたちが生涯学ぶ“道“の指針となるように、“道場心得(全二九項)“をつくった。
迷ったとき、悩んだとき、自分を見失ったとき、学びの原点に立ち返り、自分を信じて、学び続けてほしい。“道場心得“の一文、一つひとつに思いを込めた。
一、学ぶ、やりぬく意志をもつ
学習は自分がどうする、からはじまる。才能や能力の差を憂いても嘆いても仕方がない。できない、わからないから学ぶ。困難に挑み、逆境、挫折、失敗を教材にして自分事として学ぶ。どんなことがあっても集中し続ける。自ら学ぶ意志をもち、そして、やり抜き、習慣にして、はじめて学習は生きる力になる。意志とやり抜く力が学習の根底にある。
一、学ぶ、できた、わかった、喜びを感じる
わかった、できた、この快感や達成感が学習意欲になり、根拠のない自信、自己肯定感となる。自分の限界を超えたとき、次の挑戦へのモチベーションになる。「褒められるから」、「褒美がもらえるから」といった学習ではなく、「自分自身から湧き出た新たな自分」、「成長した自分」が実感できるから、学ぶことは面白いと、本当に思えてくる。学ぶ楽しさは、自分の成長のあかし。自分自身が“できた“、“わかった“を感じるために、今はできなくても、やり続ける。
一、自らの頭で考え、考えぬく
学習塾は頭を鍛錬する場、自分の頭を鍛えるために通っている。だから自分の頭で考えることは至極もっともなこと。
一、想像力を働かせる
思い描くこと。日常の生活から学習まで様々な場面で見えないこと、ものを思い描き、見抜く。先を、裏を、本質を思い描く。明日の時間割は何かを確認し、何を用意するのか、一度頭の中で整理する。宿題は何かを確認し、いつまでにやるか、先を見据えて思い描く。算数では補助線が描けるかどうか。人物の気持ちや作者の言いたいことが理解できるか。場の理屈や相手の真意、すべて想像力を働かせて推し量る。見えないものを見えるようにするために学んでいる。この日々の経験を通して、想像力を働かせる。
一、逃げない、正面から取り組む
いくら教えてもらっても、習っても、自分でやってみて、掴み取ったことしか残らない。学ぶことを正面から受け止め、取り組み、逃げない、そのものに集中する。学習を自分事として引き受けること。当事者意識を持つこと。「自分の学習だから自分でやるしかない」と覚悟を決めたとき、学習は身に付く。だれでも伸びる。伸びない子はいない。正しい学習の仕方で、正面から対峙すれば、だれでも伸びる。考え続けること、やり続けること。何を習ったか、教えてもらったかではなく、自分でやるしかないという意識を芽生えさせることが、いきつくところ。
一、すぐにできるものはない、だから続ける
水泳、野球、サッカー、ピアノ、習字等々、習い事は何をやってもすぐにはできない。教えてもらっても、習って、真似て、何度も繰り返す。何度も繰り返して練習して自分のものにしていく。継続してやることで無駄な力が削がれ、適したフォームになる。初心者でも、不向きと思い込んでいる人でも、継続すれば必ず上手くなる。学習も同じ。正しい学習フォームで継続すれば、伸びる。他人と比べるから進歩がないように思えるが、一週間前の自分を思い出せば着実に向上している。だらか、諦めずにできることを信じてやり続ける。
一、あきらめない、何か方法はある
「できません」、「わかりません」と言って、諦めたらそこで終了。生きていくためには、何かを見出していかねば、先に進めない。何かを見出さないと生きていけない境界線にある学びが、生きる力になる。学習の本分は試行錯誤。「何か見落としていないか」、「何かに偏見や因習や常識に囚われていないか」。何かある、解決の方法はある。知識や経験を駆使して、見出し、編み出すこと自体が学習。見つけたとき、思いついたときの成功体験は自己肯定感が生まれ、育ち、意欲になる。
西郡学習道場代表 西郡文啓