Rinコラム 『より立派に』

『より立派に』2018年12月

 逆上がり・漢字を覚える・計算の力・ピアノや歌、水泳やサッカーの練習…私たちが、何かの力を獲得しようとしたときに、「正しい練習の仕方」というものがあるとしたら、それはなんでしょう?楽しんでやる?レディネスが整うのを待つ?ほめて伸ばす?まずはマナーから?

 正しい練習の仕方を、ひとつあげるならば、「できることを、確実にすること」でしょう。何かができるようになるためには、より多くの訓練、つまり繰り返す、ということは、とても大切です。しかし、ただたくさんやればいい、ということではありません。できることを繰り返すこと。上手なやり方を、たくさんするということです。

  失敗を繰り返すのは、実は失敗をする練習をしているのと同じこと。肝心な時に、失敗をした体験が出てきます。1ランク落として練習、を繰り返すと、失敗の体験よりも成功体験の方が多いので、本番で150パーセントのことをやらせても大丈夫。失敗をしないのです。

 跳び箱だったら、四段を飛べたら何度も四段を跳ぶ。もっと上手に。よりへっちゃらに。さらに美しく。「上手さ、立派さ」を追求していく。どんどん得意になっていく。そうするとあるところで、六段を跳ぶ力がついてくる。そのときに、跳ぶのです。歌も同じです。上手に、楽しく。心を込めて、正しい音程で。「立派さ」を求める方が、早く力を伸ばすことにつながるのです。
 人は、一瞬にして前進します。さっきわからなかったことが、今分かるようになるもの。だからこそ、「より立派に」を意識してみてください。(「できたね、ハイじゃあ次はこれできる?」というようなわんこそば練習ではなく。)

 「すごいね、さっきよりもうまく書けているよ」「昨日よりも立派にできるね」そうやって声をかけてあげることで、いつも自分が過去よりも成長していると感じられ、他人との比較ではない、自分の中からあふれ出る自信を、内面に築いていくことができるでしょう。
 脳は、楽しいと思いながら繰り返したことだけが、伸びていくものなのです。
 
井岡 由実(Rin)