何が良いのか? 囲碁の特徴
数多あるボードゲーム。勝敗、心理、論理、コミュニケーションなど、どのボードゲームであっても様々なものが得られます。その中でも囲碁はどういう面でよいのか?
最たる独自性は「相手にポイントを与える」ことです。19路という広い盤面で、より多くの地を獲得したほうが勝ち。着手点は361か所あります。それだけ広いと、相手の石をすべて取る、地を0にする、ということは現実的ではありません。トップ棋士の対局も、半目~5目半の差で決着がつくことが多くあります(それ以上になると途中で投了する「中押し勝ち」になることが多いから、ということもありますが)。
自分だけ欲張って全部取ろうと無理をすれば、むしろ痛いしっぺ返しがやってきます。相手にいくつか与えつつ、自分もしっかり得ていく。そのバランス感覚が勝敗を左右する大事な力なのです。
いま子どもたちが打っている9路盤でも同じです。すべて取られることは本来ほとんどありません。ただ始めたばかりのころは「地を得る」ことよりも「相手の石が取れる」ことにおもしろさを感じます。相手の石が「見えている」のを取る、という「わかりやすさ」ゆえでしょう。始めたばかりのころは、それに満足できてしまうのです。それは「囲碁に取り組むだけで、楽しい気持ちになれる!」という根底に持っていてほしい思いが根付いている証拠でもあります。気持ちがそこに向いている間は、それを満喫してもらうので良いのです。
相手にも与える「スキルアッププリント」
相手に与える、という感覚は、その気持ちから脱して、地を意識するようになってからがもっとも育まれます。ですがそれ以外にも、相手に与えるという意識を育んでいきます。それが「スキルアッププリント」です。
2人組で1枚の問題に取り組む。一人が「Aに打ったら、Bに打ったら」と石を打って試す係。もう一人が結果を書き残す書記係。そうすると「石を打つ子だけが考えるのでは?」と思われるかもしれませんが、実際にはそうなりません。書記係の子も「納得できなければ○×を書きたくない」からです。打つ子が良く理解していれば、納得して○×を書いてもらえるように、説明をする。書記係の子が良く理解していれば、石を打った後にどうなるかを、説明して実感させる。相手がわかるように。それも「相手に与える」感覚につながります。
対局中に私がヒントを出そうとすれば「ヒント無しで~!」という子もいますが、多くは「そうそう、どこかは言わないけれど、取れるところがあるからね。気を付けたほうがいいよ!」と教えてあげています。
学習の本質 学びの感動の分かち合い
本来子どもたちは「わかったことは人に伝えたい、自分一人の感動に収めておけない」ものです。テストのように「自分が自分のためにその問題に一人で取り組む」という状況では、それを満たせない。わかった感動を分かち合えない。わかったときの感動を相手に得させられた時の自分のうれしさを味わえない。学びの感動はそこで倍増するのに。 人と関わる中で、偉ぶるわけでも憐れむわけでもなく、あくまでお互いフラットに楽しさを感じられる中で、相手に与えて感動を分かち合う、ということを大切にしていきます。
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